十月の木曜、カウンターに積まれた衣替えの紙袋
十月の木曜、午後三時過ぎ。カウンターの上には、いま入ってきたお客様の紙袋が二つ載っています。中身はワイシャツが七枚、スラックスが二本、それに夏のあいだ着ていた薄手のジャケット。奥の椅子には、次のお客様が礼服を膝に置いて順番を待っておられます。この方は、来週の法事までにという急ぎのご依頼です。
春と秋の衣替えの時期は、一日の受付点数が普段とは比べものにならない量になります。受付番号を書いた引換券をお渡しし、タグを付け、工場へ送り、戻ってきたらハンガーラックに掛ける。この流れのどこか一か所で番号が飛ぶと、探す作業が始まります。似た色のワイシャツが並ぶ棚の前で、一枚ずつ襟のタグをめくっていく時間ほど、忙しい日に痛いものはありません。
ProTakip は、この一点ごとの流れを画面の上に置くための管理システムです。受付のときに番号が付き、今どの工程にあるのか、いつ仕上がる予定か、いくらでお預かりしているのかが、店の端末にも、集配に出ている方の端末にも同じように出ます。個人でお店を営んでいる方、取次店を一つ二つ持っている方が、初日から使えるように作られています。専用の機械を買い足す必要はなく、いまお使いのスマートフォンやタブレットがそのまま端末になります。
一点ごとのバーコードのタグと、お客様の引換番号
受付では、一点ごとにタグを印刷して付けます。タグにはお客様のお名前、受付番号、そしてバーコードが入ります。ワイシャツ七枚をまとめて一件として扱うのではなく、七枚それぞれに番号があるのが要点です。まとめて扱っていると、六枚だけ先に上がってきたときに、残りの一枚がどこで止まっているのかが分からなくなります。
お客様にお渡しする引換券にも、同じ番号が入ります。お引き取りにいらしたときは、その番号で引けば、どの棚のどの段にあるかまで分かります。お名前で探す必要がないので、同じ苗字のお客様が三人いらしても間違えません。込み合った時間帯に、後ろに並んでおられる方の前でお名前を伺い直す、ということもなくなります。
取り違えと紛失は、この商売でいちばん重いクレームです。代金をお返しして済む話ではなく、思い入れのある一着が戻らないという出来事になります。一点ごとに番号が付いていれば、少なくとも「どこまでは確かにあった」が記録に残ります。どの工程で止まっているかが分かれば、探す範囲は棚ひとつに絞れます。お預かりのときに気づいた小さな傷やほつれを、その場でメモに残しておけるのも同じ理由からです。あとになって「元からあったものかどうか」を話し合わずに済みます。
Bluetooth のプリンターと、ハンガーラックの番号
タグは、Bluetooth で接続する手のひらサイズのサーマルプリンターから出ます。カウンターの端に置いても場所を取りませんし、集配の車の中でも、お客様の玄関先でも同じように印刷できます。受付の入力を終えると数秒で一枚出てきますので、お客様をお待たせする時間はほとんど変わりません。
仕上がった品物を掛ける場所も、番号で管理できます。ラックの番号や棚の段を登録しておけば、お引き取りのときに探し歩かなくて済みます。入ったばかりの方が一人でカウンターに立つ日でも、券の番号を読んで、画面に出た場所へ取りに行くだけです。長く働いている方の記憶に頼らない形にしておくと、その方がお休みの日でも店が止まりません。
紙の伝票をいきなり全部やめる必要はありません。はじめの数週間は、紙と画面の両方を回している店がほとんどです。ただ、しばらくすると紙のほうを書かなくなります。濡れませんし、なくなりませんし、去年の同じ時期にそのお客様が何を出されたかが、その場で出てくるからです。受付票を綴じたファイルを何冊も棚に置いておく必要もなくなり、カウンターの下が少し広くなります。
受付から仕上がりまでの状態を、店と工場で共有する
ProTakip の中心にあるのは、一点ごとの状態です。受付済み、作業中、仕上がり、お渡し済み。お預かりしたものは必ずこのどれかにいて、宙に浮いた一点は存在しません。カウンターの担当は「仕上がり」の一覧を見ればよく、集配に出る方は今日お届けする分だけを選びます。朝の開店前に今日お渡しできる分を出しておく、という段取りも組めます。
状態を動かすのは、その作業をした人です。仕上げが終わってラックに掛けた時点で、一点ずつ、あるいはまとめて「仕上がり」に移します。その瞬間に店の画面も変わります。誰がいつ動かしたかも残るので、「聞いていない」「言ったはずだ」というやり取りが自然に減ります。この考え方は扱う品物が変わっても同じで、ラグやカーペットのお預かりも受けている店はカーペットクリーニング業の管理システムのページも併せてご覧ください。
お客様への仕上がりのご連絡も、この状態と同じ場所から扱えます。仕上がりのお知らせ、お引き取りのお願い、集配でお届けする日の事前のご連絡。どの段階でお伝えするとご迷惑にならないか、逆にどれを省くとお問い合わせのお電話が増えるのかはお客様への進捗連絡の運用ガイドにまとめました。
「まだですか」のお電話と、カウンターの応対
お預かりが長くなると、必ずお問い合わせのお電話が入ります。悪いことではありません。ただ、そのたびにカウンターの人が手を止め、奥の帳面をめくり、ラックを見に行くことになります。一日に三本入れば、それだけで受付が滞ります。画面に状態があれば、その場で「明日の夕方に仕上がります」とお答えできます。この一言があるかどうかで、お客様の受け取り方は変わります。
Android の端末では、電話が鳴った時点でお客様のお名前とこれまでのご依頼が画面に出ます。名乗っていただく前に「先日の礼服の件でしょうか」と言えると、会話の入り口が変わります。急ぎのご依頼かどうかも、受付のときのメモを見ればすぐ分かります。仕組みと設定は着信時の顧客表示のガイドをご覧ください。
カウンターでのご説明も同じです。追加のシミ抜きをお受けするかどうか、素材の都合でお断りするかどうかは、その場での判断になります。前回のご依頼で同じ判断をしていれば、それが履歴に残っています。「前もそう伺いました」とお客様に言われて、思い出せずに困る場面が減ります。とくに、お受けできない加工や、色落ちの可能性を事前にお伝えした一着は、その場のやり取りを短く書き残しておくだけで、あとになってからの行き違いを防げます。
長期のお預かりと、取りに来られないお客様
どの店にも、半年前の品物が数点は残っています。連絡先が変わった方、引っ越された方、単純に忘れておられる方。放っておくと、ラックの一番奥に占領された一列ができ、繁忙期に置き場所が足りなくなります。ProTakip では受付日で並べ替えられるので、お預かりが長くなっている品物だけを抜き出せます。
抜き出せると、動けます。月に一度、古い順に上から見て、ご連絡できる方にはお声がけする。その結果もお客様のカードに残しておけば、次に見たときに「先月ご連絡済み」と分かります。年に一度、棚卸しのつもりで一気に片づけようとすると、たいてい途中で止まります。少しずつ減らすほうが続きます。置き場所が空けば、繁忙期に無理に詰め込むこともなくなり、結果として品物を傷める危険も減ります。
衣類の長期保管を別のサービスとしてお受けしている店では、これがそのまま商品になります。保管の期間と料金をパックとして登録しておけば、受付のときに選ぶだけで金額が決まります。お預かりの開始日が記録に残るので、お約束の期間が近づいた方を一覧で拾い出すこともできます。次のシーズンの入り口でお声がけできれば、そのまま次の保管につながることも少なくありません。
クリーニング店の管理システムに欠かせない、顧客の過去履歴
クリーニング店の管理システムを探しておられる方が、最後にいちばん効くとおっしゃるのがこの過去履歴です。常連のお客様が「いつものように」とおっしゃったとき、いつものようにとは何なのかが画面に出るかどうか。折り目の好み、糊の強さ、前回お断りした加工、色移りの心配があった一着。これは書いておかなければ残りません。
ProTakip の顧客カードには、その方の過去のご依頼が日付とともに積み上がります。何を、いつ、いくらでお預かりし、いつお渡ししたか。二年前の礼服がどう仕上がったかを見てから、今回の判断ができます。ご家族のぶんをまとめて出される方も、一つのカードにまとめて見られます。取次でお受けした分も同じカードに入ります。
単価の考え方も、あらかじめ登録しておけます。品目ごとの一点単価、枚数でお受けするもの、まとめてのパック、シミ抜きや撥水などの追加サービス。入って三日目の方が受けても、店主が受けたときと同じ金額になります。料金表そのものの組み立て方は料金表の作り方のガイドに、並べ方まで含めてまとめてあります。
集配のルート、集金、そして始めるときの手順
集配をなさっている店では、地理も仕事のうちです。地区を登録しておけば、その日回るお宅を地図の上で確認でき、同じ方面をまとめられます。車両ごとの動きも記録できるので、「今どのあたりか」を電話で聞き直さずに済みます。マンション名や、ご不在時の置き場所のご指定も、お客様のカードに残せます。オフィスや店舗の清掃も併せて請け負っている場合はハウスクリーニング業の管理システムのページもご覧ください。
お支払いは、その場でいただく分、月末にまとめる分、法人のお客様の翌月振込が混ざります。ProTakip では入金をその場で記録でき、残りは未収として残ります。日ごと、期間ごと、担当者ごとに集計できるので、レジの現金と記録が合わない日にはその日のうちに気づけます。回収の順番と締めの手順は集金と売掛金管理のガイドに書いています。
Android と iOS の両方に対応しており、Google Play と App Store から入手できます。今お使いの Excel の顧客名簿や他社の管理ソフトからのデータ移行にも対応しています。導入の前に何を確かめておくべきかは管理システムの選び方にまとめました。最初の3か月は無料です。なお ProTakip は会計ソフトではありませんので、決算や申告の書類は今お使いの仕組みや税理士の先生にお任せください。
よくあるご質問
ワイシャツ十枚のご依頼でも、一枚ずつタグを付けるのですか。
一点ごとに番号を付けることをおすすめしています。まとめて一件にしていると、途中で数点だけ先に上がってきたときに、残りがどこで止まっているのかが分からなくなるためです。タグは受付の入力を終えると数秒で印刷されますので、増える手間はその数秒だけです。
お客様が引換券をなくされたときはどうしますか。
お名前やお電話番号からも検索できます。同じ苗字の方が複数いらっしゃる場合も、過去のご依頼の履歴を見れば確認できます。品物がどの棚のどの段にあるかは画面に出ますので、ラックを一列ずつ見て回る必要はありません。
半年以上お預かりしたままの品物を、まとめて確認できますか。
受付日で並べ替えれば、お預かりが長くなっている品物だけを抜き出せます。ご連絡した記録もお客様のカードに残せるので、先月お声がけした方をもう一度呼び出してしまうこともありません。
集配のときにも、その場で受付や入金の記録ができますか。
できます。プリンターは Bluetooth 接続なので、車の中やお客様の玄関先でタグを印刷できます。入金もその場で記録でき、残りは未収として残ります。電波が届かない場所では端末の中に保存され、戻った時点で同期されます。
取次店を出している場合も、同じ画面で見られますか。
スタッフの追加は招待コードで行い、権限で見える範囲を分けられます。取次でお受けした品物も同じ状態の流れに乗りますので、工場から戻った時点でどちらの窓口にお渡しするかが分かります。誰が何点受けたかは実績として残ります。