七月の午後二時、三件目の「今日中に来てほしい」
七月の午後二時。前の現場で室外機を据え付け終えて、汗が引かないうちに電話が鳴ります。「二階の寝室のエアコンが動かないんです。小さい子がいるので、できれば今日中に見てほしい」。これで三件目です。手帳を開けば、明日は業務用エアコンの定期点検が二件、来週にはマンション一棟の入れ替えが控えています。今日の残りをどう組み替えるか、路肩に停めた軽トラックの中で考えることになります。
六月から八月にかけて、この仕事の問い合わせは一気に集中します。困っているのは電話の向こうのお客様も同じで、断ればその方は次の会社にかけるだけです。それでも一人親方や職人が二人三人という体制では、受けられる件数に限りがあります。問題は件数そのものよりも、受けた仕事の管理が手帳と記憶に載りきらなくなることです。約束した時間を一件取り違えると、その日の残り全部が後ろにずれていきます。
ProTakip は、空調設備の仕事に合わせて使える管理システムです。取り付け、入れ替え、修理、定期点検を同じ画面の上に並べ、どの現場が今どの段階にあるのかを、経営者の端末にも現場の職人の端末にも同じように表示します。事務所にパソコンを置く必要はなく、今お使いのスマートフォンがそのまま端末になります。空調の管理システムというと大がかりなものを想像されますが、実際に必要なのは、行き先と機器の履歴と入金が一か所にあることだけです。
緊急の依頼と定期点検が、同じカレンダーの上に乗る
空調設備の一日は、性質のまったく違う仕事が混ざります。半年前から決まっている業務用の定期点検と、二時間前に入った「冷えない」の急行。この二つを別の場所で管理していると、必ずどこかでぶつかります。ProTakip では予約とカレンダーが一本なので、緊急の依頼を差し込むときに、その日と翌日に何が入っているかを見ながら判断できます。動かせる点検と、動かせない立ち会いの区別も、その場でつきます。
受けた仕事は必ず状態を持ちます。訪問予定、作業中、完了。宙に浮いた案件は存在しません。朝、職人は自分に割り当てられた一覧だけを見ればよく、事務所は全体の一覧を見ます。現場が終わった時点で職人が状態を動かすと、事務所の画面もその瞬間に変わります。夕方に「今日の三件、全部終わった?」と電話で確認し合う時間がなくなるだけでも、繁忙期には効いてきます。
同じ考え方は、配線や器具の交換を請け負う仕事にもそのまま当てはまります。電気工事と設備工事を兼ねている会社は電気工事・設備工事の管理システムのページも併せてご覧ください。内装や住宅の改修まで手を広げている会社であればリフォーム業の管理システムの考え方が近いはずです。
空調の管理システムに残すべきは、住所ごとの機器の履歴
お客様のお名前で管理していると、二年後に困ります。困るのは「前回いつ、誰が、何をしたか」を思い出すときです。ProTakip では顧客カードに、その住所に付いている機器の型番、設置年、いつどんな作業をしたかが積み重なっていきます。冷媒を追加したのか、基板を交換したのか、フィルターだけ清掃したのか。その一行があるかないかで、次の訪問の準備がまったく変わります。同じお客様から二年後にご連絡をいただいたとき、前回の担当者がもう会社にいないこともあります。人ではなく住所に記録が付いていれば、その断絶が仕事に響きません。
現場に着く前に前回の記録が読めると、持っていく部材の見当がつきます。設置年が分かれば、修理するべきか入れ替えを提案するべきかも、お客様に根拠をもってご説明できます。「この機種はもう十二年目ですから、直してもまた別のところが出ます」という一言は、記録がないと言えません。逆に記録があると、その場で入れ替えのご相談に変わることがあります。
賃貸物件では、依頼をくださるのが管理会社で、お使いになるのは入居者の方です。連絡先と現場の住所が別々になるこの形も、顧客カードに部屋番号ごとの履歴として残しておけば混乱しません。同じ建物で三部屋、別々の年に取り付けた機器がある、といった状況も一覧で見えます。管理会社の担当者が代わっても、こちらに履歴が残っていれば話が早く進みます。
技術者の割り当てと、その日の動き
誰がどの現場に行くのかを決めるのは、朝の数分です。ProTakip では案件ごとに担当者を割り当てられるので、職人は自分の分だけを見ます。招待コードでスタッフを追加でき、権限を分ければ、応援に来てもらった方に会社全体の売上を見せずに、担当する現場だけを表示することもできます。誰が何件処理したかは実績として残ります。
移動そのものも仕事のうちです。地区を登録しておけば、その日の訪問先を地図の上でまとめて確認できます。同じ方面を続けて回れるように組み替えるだけで、真夏の移動時間と燃料代が変わります。車両ごとの記録も残るので、「今どのあたり?」と一台ずつ電話で聞き直す必要がありません。
社内の連絡は、アプリの中のメッセージとプッシュ・トゥ・トークで足ります。脚立の上や天井裏では文字を打てません。押して話すだけで済む形が現場には合っています。屋上や機械室で「この配管どうする?」と短く聞ける手段があると、いったん降りて電話をかけ直す往復が減ります。
室外機の置き場所と高所作業は、行く前に分かっているほうがよい
同じ「エアコン一台の入れ替え」でも、一階の掃き出し窓の横に置ける現場と、三階のベランダから壁面金具で吊る現場では、必要な人数も時間もまったく違います。それを当日その場で知ると、後ろの予定が全部崩れます。下見や前回の作業で分かったことを顧客カードに書いておけば、次に同じ住所の依頼が来たときに、最初から二人で行く判断ができます。
高所作業や屋根置きの室外機は、段取りの重さがそのまま金額に出る部分でもあります。あらかじめ登録しておいた追加サービスとして扱えば、受付の時点で条件を選ぶだけになり、あとから「あの現場だけなぜ高いのか」を説明する必要がなくなります。単価の考え方は㎡、台数、時間、パックのいずれでも設定できます。
冬には仕事の内容が変わります。給湯器の交換、暖房の効きが悪いというご相談、朝いちばんの「お湯が出ない」。夏とは別の緊急が来ますが、扱いは同じです。住所に紐づいた機器の履歴があれば、給湯器の設置年も同じカードの中にあります。年に二回、季節の変わり目にご連絡を差し上げる先が、記録の中から自然に出てきます。次回点検の予定をあらかじめカレンダーに置き、リマインドを受け取るようにしておけば、猛暑や寒波が来る前に手を打てます。閑散期の仕事は、こうして自分で作るしかありません。
部材の手配待ちで止まっている現場を、見失わない
先に正直に申し上げます。ProTakip に在庫管理や発注管理の機能はありません。部材の残数を数えたり、仕入れの伝票を起こしたりする仕組みは入っていません。そこはこれまでどおり、お使いの方法で管理していただくことになります。空調の管理システムとうたっていても、部材まで面倒を見る製品は現場の入力が重くなりがちです。私たちは受注と現場と入金に絞っています。
それでも、この業種でいちばん埋もれやすいのは「部材の入荷を待っている案件」です。取り寄せの基板が来週入る、という現場は、作業中のまま一覧の下のほうに沈んでいきます。忘れられるのはたいていこの種類の仕事で、思い出させてくれるのはお客様からの「あれ、どうなりましたか」という電話です。案件のメモに入荷予定を書き、再訪問の予定をその場でカレンダーに入れておけば、少なくとも忘れて終わることはなくなります。
再訪問の日付を先に置く習慣は、それだけで一つの管理です。入荷が遅れたら日付を動かせばよく、動かした記録も残ります。お客様に途中経過をお伝えするかどうかの判断も、一覧を見れば「もう十日経っている」と分かるので、先手を打てます。
現場で受け取ったお金と、残った未収
個人のお宅では、作業が終わったその場で現金をいただくことが多くあります。法人や管理会社のお仕事では、後日の振込になります。同じ一日の中でこの二つが混ざるのが、この仕事の集金です。ProTakip では現場で入金をその場で記録でき、残りは未収として残ります。誰の分がいくら残っているかは一覧で見られます。
入出金は日ごと、期間ごと、担当者ごとに集計できます。現金を預かって帰った職人と金額が合わない日は、その日のうちに気づけます。繁忙期に一か月ためてから突き合わせようとすると、もう誰も細かい経緯を覚えていません。夜、車を停めてから担当者ごとの合計を見る数分が、月末の何時間かを消します。
回収の順番の付け方や、いつどのようにお声がけするかといった運用は集金と売掛金管理のガイドにまとめました。週に一度の締めの手順まで書いてありますので、担当を決めるときの叩き台としてお使いください。
着信の時点で相手が分かる、圏外でも止まらない
猛暑の時期は、一日に何本も知らない番号から着信します。Android の端末では、電話が鳴った時点で画面にお客様のお名前、ご住所、これまでの作業履歴が表示されます。名乗っていただく前に「去年の夏に付けた二階の分でしょうか」と言えると、そこから先の会話が短くなります。屋根の上で電話を取るとき、この数秒の差は小さくありません。設定と仕組みは着信時の顧客表示のガイドをご覧ください。
機械室、地下のポンプ室、山あいのお宅の前。電波の弱い場所はこの仕事につきものです。ProTakip は端末の中にもデータを持っているので、圏外でも記録の入力と状態の変更ができ、電波が戻った時点で同期します。その場で終わらないことは、たいてい後回しになって忘れられます。Android と iOS の両方に対応し、Google Play と App Store から入手できます。
今お使いの顧客名簿や、他社の管理ソフトからのデータ移行にも対応しています。手順と注意点は乗り換えとデータ移行のガイドに、はじめて導入する会社が何を確かめるべきかは管理システムの選び方にまとめています。定期清掃も請け負っている会社はハウスクリーニング業の管理システムも参考になります。最初の3か月は無料です。なお ProTakip は会計ソフトではありませんので、決算や申告の書類は作成できません。
よくあるご質問
取り付けた機器の型番や設置年は、どこに記録しますか。
お客様の顧客カードに、作業の履歴として残していきます。型番、設置年、そのとき何をしたかを書いておけば、次に同じ住所の依頼が入ったときに現場へ向かう前に読めます。同じ建物の別の部屋も、部屋番号ごとに分けて記録できます。
繁忙期に入る緊急の依頼を、定期点検とどう並べればよいですか。
予約とカレンダーが一本なので、その日と翌日に何が入っているかを見ながら差し込みます。動かせる点検は日付を変え、変えた記録も残ります。担当者ごとに割り当てておけば、誰の予定が空いているかもその場で分かります。
部材の在庫や発注は管理できますか。
できません。ProTakip に在庫管理と発注管理の機能はありません。ただし、入荷待ちで止まっている現場を案件のメモと再訪問の予定として残しておくことはできますので、忘れて放置される案件は防げます。
職人がスマートフォンの操作に慣れていません。
現場の職人が日常的に触るのは、自分に割り当てられた一覧、状態を変えるボタン、入金の記録の三つだけです。料金や商品の登録は、経営者と事務の方だけが行えるように権限で分けられます。屋外でも読めるように、一覧は大きめの表示です。
電波の入らない機械室で入力した内容は消えませんか。
入力は端末の中に保存され、電波が戻った時点で自動的に同期されます。同期を待つ間も、一覧の表示や検索はそのまま使えます。複数の職人が同じ案件を同時に触った場合は、つながった順に反映されます。